16話のアレから派生した薄暗いスザルルを続きからに上げておきます。フェードアウトした後の妄想。次で覆される前にと思って自分用に書いた整理目的の話なので推敲とかしてなくてボロボロですが。
サイトに再録する際にまた手直しできたらいいなと思ってます。
感想を書く前にこれか…。
考えてみたらおかしいことなんていくらでもあった。あの日ひとりで枢木の本家へ出向いたスザクが帰ってきたときにルルーシュが感じた違和感は気のせいではなかったのだ。どうしたのだと問いかける自分になんでもないとだけ繰り返し続けるスザクの姿はおかしかったのに、どうして自分はそこで問い詰めるのをやめてしまったのだろう。彼は誰かに全て聞いて欲しかったのではないのか?周りの大人たちは事実を隠蔽することだけに必死で彼の心を置き去りにしたことに気づくことが出来なかった。彼は与えられない罰に自分が何をしてしまったのかを忘れることを何よりも恐れたはずだ。死体の転がった荒野を歩けず立ち止まってしまった彼を叱咤したことを悔いては居ない。ああしなければ今自分たちは此処に居ることすら出来なかっただろう。けれど、けれどもし、あの時自分が彼の悲鳴に気づけていたらもっと何か変わっていたのではないか。いいやあの時だけではない。再会した後だって彼に疑問を抱くこと何度もあった。変えた一人称、頑なに守り続ける正義という幻想。それを全て離れてしまった間に起こったことだと片付けてしまった己の浅はかさに怒りすら感じる。自分が気づいてやらなければいけなかったというのに。どうしてこんなときばかり上手く頭が働かない。彼の全てを知るべきだった、それは傲慢な願いだと分かっている。それでも、
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ようやく落ち着いた彼の眼に涙は無かった。いっそあのときのように泣いてくれていたほうがずっと楽だったのに。感情を殺してしまったような彼の瞳は暗く濁りそこが見えないそれはただ恐怖だけを訴えていた。
「悪くないお前は何も悪くないんだスザク」
「ルルーシュ……」
震える声で名前を呼ばれ手を伸ばすスザクを抱きしめてやればそれ以上の力で縋りつかれて痛みすら感じる。それでも二度とこの手を離すわけにはいかなかった。そうだ自分たちは二人で居なければならないのだ。そうでないときっと幸せになんてなれない。幼い子供のように自分の腕の中で肩を震わす彼をあの時塞がれていた両手でただ抱きしめた。